心理リハビリテーションとは?

心理リハビリテーションとは、姿勢の歪んでいるところを矯正して、気持ち良い体になる心理療法です。「動作法」という心理療法を用います。

1.「動作法」とは

1964〜6年、埼玉県の施設で脳性マヒの人に催眠療法を行う研究が行われました。

その研究では、催眠をかけると動かなかった腕が動くようになり、催眠を解いて覚醒状態になると、また動かなくなるという結果となりました。

このことは脳性マヒの人の動きにくさは、緊張によるものであり、心理的要因が大きいということを示していました。

九州大学・心理学講座 成瀬悟策先生を中心にした研究グループは、この研究結果を受けて脳性マヒの人へのリラクセーション及び動作学習方法として、「動作法」を開発していきました。

動作法は現在では脳性マヒだけでなく、自閉症やスポーツなどに応用範囲を広げていっています。


2.なぜ動作法で緊張が緩むのか

緊張は広い意味での対人関係で、相手を信頼できていないときに起こります。試験や面接など自分自身が試されている時にはことに強くなります。

動作法のなかで行われる数々の動きのなかでも、セラピストを自分を支えてくれる存在として信頼できるとリラックスでき、信頼できないと緊張が解けないという対人関係体験をします。

信頼するとはどういうことか理解できるようになると、日常場面での緊張コントロール力が向上していくことと思われます。

また自分の緊張に気づいて、緊張の解き方を工夫していくという、自己学習の側面もあります。以下は、技法の概要です。

技法の概要

言葉でなく、からだで指示する
頭で考えている動作イメージと体が覚えている動作イメージにはズレがあるため、体で直接指示された方が動きやすくなります。
緊張に気づかせる
緊張を緩めることが難しい方には逆に力を入れてもらったり、緊張しているところにセラピストが手を当てて教える、などします。
余計な力をブロック
自分が意図していないところが動いてしまうことがあります。動作法ではこの不随意運動をセラピストがブロックしてあげます。すると意図したところを動かしやすくなります。
呼吸をゆっくりと
息を吐くときに緊張が緩むので、深呼吸を上手に取り入れます。
補助者への信頼感
補助者は無理に緩めようとせず、緩むまで待ってあげます。その方が不安が少なくなって、緩めやすくなります。

3.訓練メニュー

お客様の体に合わせてメニューを決めますが、以下はメニューの一例です。

  • 肩開き

  • 腕上げ

  • 躯幹のひねり

  • 背反らせ

4.適用

体の過緊張からくる凝りなどの不快な症状に有効です。

  • 肩こり・腰痛
  • 話すエネルギーが湧いてこないとき
  • 高齢者のリハビリ